「低濃度アトロピン点眼薬」は、小児期の近視の進行を軽減させることを目的とした点眼薬です。
シンガポール国立眼科センターの研究に基づいて開発されました。
子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれ生じるケースが多くあります。
近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることはありません。
そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。
また、近視は高度な近視の場合、回復不可能な視力喪失、黄斑変性症、網膜剥離、または緑内障に発展する可能性もあるといわれています。
「低濃度アトロピン点眼薬(アトロピン配合)」は、近視の進行を遅らせる(眼軸長の進展を抑制する)という点で統計的にも臨床的にも有意義な効果が得られるとされる治療法です。
アトロピン1%点眼薬は1960年から、すでに近視治療に使用され続けていましたが、下記のような不快な副作用が引き起こされていました。
しかしながら、「低濃度アトロピン点眼薬」は、超低濃度(0.01%)のアトロピンを点眼することにより、近視の進行スピードを効果的に抑えると同時にアトロピン1%点眼薬のような不快な副作用を回避できるよう開発されました。
シンガポール国立眼科センター(SNEC)の研究では以下のような報告がされております。
アトロピン0.01%の効能・効果及び安全性は点眼を2年間継続した後によるものです。
出典:Chia A, Lu QS, Tan .Five-Year Clinical Trial on Atropine for the Treatment of Myopia 2: Myopia Control with Atropine 0.01% Eyedrops Ophthalmology. 2016 Feb;123(2):391-9
上記の研究報告等から、副作用が非常に少ない近視進行抑制薬と言われております。
低濃度アトロピン点眼薬の治療は自由診療です。
初回は保険診療です。近視の度数等を確認させていただきますので、保険証や医療券をお持ちください。
後日、点眼薬が処方されます。以降は自由診療となりますので健康保険や医療費助成制度は適応されません。
診察費 | 1,000円(税込) |
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マイオピン点眼薬 | 3,500円(税込)/本 |
費用はすべて税込みの金額となっております。
主な副作用は、「まぶしさ」です。これは瞳孔が広がるために起きる症状ですが、就寝前に点眼すれば、朝には元に戻ります。
起床後にまぶしさ等を感じる場合は、前日の点眼時間の調整が必要かもしれません。
オルソレンズとの併用も可能です。
低濃度アトロピン点眼薬をさしてから、5分以上時間をあけてからオルソレンズを装用して下さい。
レーシック手術後や、オルソケラトロジーの中断後におきる近視の戻りをイメージされているのであれば、そういったものはありません。
最近の研究では、2年以上点眼しなくても効果は維持できていますが、中断後に近視が再度進行したデータも出てきております。
0.01%アトロピン点眼は、9%の方に無効だったという海外の報告があります。
点眼後も6M経過しても、近視が進み続ける場合、クロセチンサプリメント併用を検討が必要となります。
基本的には近視を進まないようにする治療であり、視力を回復する治療ではありません。
しかし、中には点眼開始後1-2か月で視力が回復する方もおられます。
そういった方は調節緊張の要素があったと考えられます。
ミドリンMなどの調節緊張の点眼を使用されている場合、低濃度アトロピン点眼薬への移行も可能です。
近視の進行を抑制し、視力が悪くなるのを減らすための治療とご理解ください。
現在のところ報告されておりません。
年齢にもよりますが2年以上の継続をお勧めします。
当院では、まず2年間使用していただき、効果判定をしながら治療の継続の可否について、ご相談させていただいています。
可能です。
現在までになされている報告は、開始時6~12歳を対象にしたものの為、12歳以降の臨床的なデータがありません。
しかし、12歳を超えても近視は進行していきますし、低濃度アトロピン点眼は近視の進行を抑える可能性があります。
ただし、点眼後8時間程度は瞳孔に影響があります。
高学年になって生活リズムが変わり、夜に点眼してから朝起きるまでの時間が短くなると、朝のうちは近くが見づらい・まぶしいといった症状を感じることもあります。
可能です。
コンタクトレンズは外した後に点眼をして下さい。
おわりに、どんな薬でもそうですが、異常を感じたら点眼を中止し受診してください。
「低濃度アトロピン点眼薬」の詳細について
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